第2話『友を欲する者』 05




 嫌で嫌で仕方なかったが、俺は鵬塚を連れて一年生の住処、東棟へやって来た。一年坊主が元気に走り回っている中、二階に続く階段を上りきり、左に折れる。少し進むと、突き当たりと左手側に扉があり、突き当たりにあるは一年四組の教室。左手側にあるのは空き教室である。さて、この空き教室は放課後ある目的で使用される。すなわち、鵬塚が入りたいとぬかしている文芸部の部室として。
 ……そう。文芸部の部室だ。
 ……………駄目だ。やっぱ入りたくねぇ。
 よし! こいつを一人で行かせよう。
「さぁ、鵬塚。文芸部の部室はここだ。輝かしい部活ライフの第一歩を踏み出すといい。じゃ、俺はかえ――」
 はしっ。
 身を翻して帰路につこうとした俺の服の裾を、社会不適合者鵬塚真依の腕がつかんだ。そして例のごとく――
 フルフル。
 はあぁあ。
 ここで無理に振り切って帰ったとて、鵬塚兄にネチネチ何か言われたり、明日、鵬塚自身に弱弱しい抗議を浴びせられたりするだけで、デメリットの方が多い気がしなくもない。腹を決めてここであいつに会って、攻勢をのらりくらりとかわしていた方がいい……と思いたい。
 ……いざという時は、窓から逃げよう。
「分かった。付き添ってやるから、さっさと終わらせよう」
 コクコク。
 ほっとした顔で頷く鵬塚。相変わらず、社交性皆無なやつだ。



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